パナマのカルタヘナという港に着くころにはもう異変に気がついていた。前日からある左足の痺れが抜けない、動かすこともあまりできない。
それでも同じヨットで過ごした仲間たちと別れを告げ、僕はキャプテンのゲストハウス兼自宅でお世話になることになった。2日くらい滞在してまた走りはじめるはずだったのだが。
まずうまく歩けないことが分かった。左ひざで足を持ち上げるようにしてなんとか歩ける感じ。ヨットからの飛び込みで痛めた首は背骨の上から3番目くらいが痛んでしんどい。
1日、2日経っても症状が変わらず、ヨットクルーの付き添いで診療所に行くことにした。いくつか症状の問診と動きのチェックをしてもらったが、わからないので明日大学病院でCT撮ってもらいなさいと紹介状を出された。
ケガで病院に行くのなんてこの12年の旅ではじめてだ。そしてクルーのヘナロがいてくれなかったらスペイン語のやりとりでは、どうにもこうにもならなかった。
翌日大学病院でCTを撮る。こちらは日本の病院と違って、診療と検査が分かれている。手続きも支払いも全部自分で建物を移動してやってから、最後にCTを撮る。そしてその結果を持ってまた昨日の診療所に向かうのだ。夕方のその時間にはすっかり疲れ果てていた。
そして結果は「わからない」とのこと。ドッとカラダが重くなった。
その結果も踏まえてLive配信で現状報告。とりあえずこれを受け止めてここからどうするかを考えて行くしかない。そんな複雑な思いでいた翌日の午前中にカメルーンで働く友達のお医者さんからメッセージが入った。
「いまはなせる時間はありますか?」
すがるような思いで、ビデオ通話のボタンを押した。