【島の人になってみる】
ベリーズのキーカーカー島に3日滞在した。
歩いても1時間もあれば一周ぐるりと回れてしまいそうな大きさ。舗装路はなく、自動車も走っていない。道は全て海の砂が固まったもの。車の代わりにゴルフ場のカートがあるが、それも観光客のタクシー代わりか、飲食店などへの配達用。あとはたくさんのヤシとマングローブに覆われたカリブ海に浮かぶ小さな島がキーカーカー島だ。なんだか名前も可愛らしくて、その雰囲気とともにすごく好きになった。
通りを歩けば誰かに声をかけられる。どっから来た?寄ってかないか?
観光客向けの商売をしている人でも、なんとものんびりとした雰囲気だ。島の人はみなほがらかな雰囲気で歩いたり木の下でお話ししていたり、学校から帰る子どもたちは自転車にまたがり観光客のあいだを器用にすり抜けて行く。
メキシコのユカタン半島からずっと海だったから、もう海はいいかなーなんて思ってたんだけれど、ひょんな思いから来てみることにした。それは、ユカタン半島に入ってから何度も再会しては過ごして来た仲間たちがこの島に来ていること、そしてもうひとつは、ベリーズ入りますと書いたfacebookに友達が「キーカーカー是非!」とコメントをくれたから。たまにはこういう流れに身を任せてみよう。
雨降りでパンクも2回しながら、メキシコ国境の町から160km、なんとか最終のフェリーに
乗り込んだころにはもう日が落ちていた。波に揺られながら、1時間ほど小さな島とそこに灯る明かりが見えてきた。キーカーカー島に到着だ。
海風がヤシの木を揺らし、街灯以外は真っ暗。そんななか宿に向かっていると
「おーい!日本人だろ!?君の友達はいま向こうのほうに歩いて言ったよ!」
といきなり島の人に声をかけられる。ほんまかいな!?
「おれマジシャンなんよー。うそうそ、今日さその友達がシュノーケリングの相談に来たんだけど、友達来るからって言ってたからさ覚えてて。いま向こうに歩いていったから追っかけるといいよ。」
半信半疑でお兄ちゃんに言われたまま宿と反対方向に向かうと、ほんとに仲間のさとちゃんに出会えた。おっすおっすー!あの兄ちゃんほんまにええひとや。この島ではほんとにこういうことがたくさんあって、気持ちよく心をオープンに過ごさせてもらった。
なんといってもハイライトはシュノーケリング。仲間と3人で、僕にとってははじめてのこんなツアーだったのでワクワク・ドキドキ。島から30分ほどの沖合にでれば、そこには白波が立っている。なんでー?と思っていたらそこがサンゴ礁の棚になっていてそれがずーっと向こうまで続いているそうだ。
シュノーケルを付けて、フィンをつけていざ海の世界へ。
びっくりしたなー生きているエイ、ちっこめのサメ、海ガメ、そして数え切れないほどの魚たち。それぞれ違った動きをしているのはもちろんなんだけど、ちゃんと動きに意思が感じられる。あー海の生き物って、彼らには彼らの世界と生活があるんだなーっと興奮しながらもどこか納得している自分がいた。
1日ツアーの最後のメインはマナティ。会えるかなー会えるかなー、心がウズウズしてくる。まるで気持ちは小学生だ。ポイントに到着して、それでみんな待ち切れない様子で海に入った。ガイドの兄ちゃんとしばらく泳いでいると彼が海底を指差した。え?いるの?
まあるい岩のようなカタチをしたそれはマナティだった。じーっと見てると動き始めて水面で息継ぎ。あー行っちゃうかなーと思っていたら戻って来てくれて、そこからこちらを見つめて泳いでいった。わーわーわー!もう言葉にできない感動。すげーなすげーな。子どもたちってこういう気持ちか。ほんとに感動したけどそれを伝える術がないときにすげーすげーってなったり体が動いたりするんだな。素晴らしいシュノーケリングだった。
島に戻ってくるとちょうど漁師さんが海からあがったところで魚をさばいていた。
その魚売ってくれるのー!?と聞くといいよーどれにするー?とおじさん。伊勢エビあるかな?って聞いたらあった!あったー!
慌てて仲間を呼びに戻って、今晩でこの3バカトリオも解散だからパーっとやろうということになり、3人で大きな魚を1匹と伊勢エビを3匹買った。シェフは僕だ。魚はセビーチェと呼ばれるレモンを絞ったカルパッチョ。伊勢エビは身を剥いでお刺身にして、もう1匹はグリル。最後に頭をスープにしてみんなで外でキッチンもないところで楽しく夕食を食べた。
あーほんとに夢のような1日。仲間がいて、一緒に貴重な体験をして、美味しいご飯を食べる。ただただ幸せな時間。こういう宝物を僕は人生でたくさん作りたい。それには自分だけじゃなくてやっぱりそれを分かち合える仲間がいたらいいなと思う。
3バカトリオこれにて解散。さとちゃん、えいちゃんほんとにほんとにありがとう。
また旅のどこか、それか日本でね。
コメントをお書きください