【キューバの滞在を振り返る】
キューバへの3週間の旅を終え、メキシコに戻ってきた。
空港に降り立ち、雨のなかバスに乗り継ぎカンクンの市街地へ向かう。
お世話になった宿のオーナーに人懐っこい笑顔で迎えられ、同じ宿の旅人と街に繰り出す。
キューバでも毎日のようにしてきたルーティンなのに、もうここはキューバではない。
街がキレイで、人々は普通に街を行き交う、路上にも露店がたくさん出ている。
それらはキューバに向かう前に、見ていたものと同じ懐かしいものだ。しかし、そこにはあのまとわりつくような暑さや、いろんなものが入り混じったニオイや、ひとりで歩いていても常に誰かに声をかけられていたキューバの少しベタベタするくらいの強烈な個性は感じない。
なんだこの感じ。
すっかりキューバが夢だったような、そんな街が昔あったな、くらいの気持ちになった。
あんなに吸い寄せられるようにシャッターを押していた写真を見返していても、もうすでに通り過ぎた交差点を、今も離れながら後ろ手に見ているような感覚だ。
いい出会いをした。自分の心がどんどん溢れていくような感覚を久しぶりに覚えた。
このことを伝えたくて伝えたくて仕方がなかった。
伝えることを考えない、それがあふれ出るような感覚っていつぶりだろう。
そんな魔法をかけてもらえたキューバと出会った人には感謝の気持ちしかない。
ありがとう。ずいぶん自分に戻れたよ。
1ヶ月も経っていないのに、写真を見比べて自分でハッと顔つきが違う。
情けない気持ちもあるが、自分に、自分の入れ物にすっぽり収まったような、見ている景色にゆらゆらしたものがなく、スキッとクリアな感覚を取り戻せたことを嬉しく思う。
ありがとう。
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