Homeless

僕のキューバの自転車旅は、ローカルな雰囲気の海沿いルートが途切れ、

そこからは首都のハバナに向かうセントラルカルテラと呼ばれるメインハイウェイに入った。予想はしていたが、思っていた以上に精神的にしんどい。

 

この国はいまでも馬車が日常交通として機能している。少し遠くに行くのは乗合バスや、荷台に何十人も立って運ばれて行くトラック。町の移動や、隣町くらいまではみんな馬車に乗って普通に道路を走ってる。後方確認をして、ペダルを踏み込み左側から馬車を追い抜き、また元に戻って走る。こんなのが110回くらいあるだろうか。

 

この道路で馬車や自転車を追い抜くのは、なんのことは無いのだが。ここに大型トラックやバスが入ると話が違う。なんだかな、これはネパールとかでも言えるんだけど、普段はキューバ人もにっこりおっとりしてるのに運転をすると性格が違って見えるパターン。特に大都市を移動するトラックに客席つきの荷台を積んだローカルバス「カミオン」はかなーり運転が荒い。反対車線に僕がいても追い越しをかけてこちらの車線にグワッと寄ってくるし、当然後ろからすごいスピードで追い越しをかけられるときはヒヤッとすることもある。それに加えて、僕らが走る道路端は舗装が剥がれてデコボコになっていたりする。

 

「遅い馬車」「ぶっ飛ばす大型車」「道路コンディション」

これが組み合わさると、ほんとに景色なんて眺めている余裕はなく、常に緊張状態で走ってないといけない。集中するぶん距離は稼ぎやすいが、後から振り返ったときにほとんど印象に残っていない残念なパターン。

 

自転車を移動手段ととらえるか、それともその土地ともっと近づくことができる道具としてとらえるか、それは自転車で旅する人によってもそうだけれど、僕は旅を始めた頃よりも、チャレンジ的な意味を込めて旅していた時よりも、いまの方がこういうところを大事にするようになったと思う。

 

それは旅のなかで何をインプットできるか、という自分の内面に積み上げて行くことのできるものであるのと同時に、単純に走ることを楽しむということにおいてもそう。そして、この「楽しく走る」ということにおいて、今の必要最低限の装備と自転車という組み合わせはほんとに旅の可能性を広げてくれたと思う。

 

それで、これは今回キューバを旅するなかで今あたまに浮かんでいるきているイメージ。

【楽しんでいるときのほうが、圧倒的に旅でその土地を、人を感じる幅が広がる】

ということ。自分の感情や心の感度が上がる感じだろうか。

 

何かを伝えるために旅をする?

旅で新たなイメージや気づき生まれるから表現する?

 

たぶん後者が自然なんやろなーと思う。そしてそのイメージや気づきに必要なことはストイックな精神力ではなく、心の柔軟さや感度みたいなもんなんやと思う。

 

僕が密かに尊敬しているホームレス小谷くん(彼のFacebookおもしろいですよ)。

彼は先輩芸人のキングコング西野亮廣さんから「おまえどうしようもないからホームレスでやっていけ」と言われ素直にホームレスとなり、お嫁さんをもらい、毎日のように寿司を食べ15kg太り、彼の1日を50円で売り続けながら彼の出会う、その活動を見守る人たちに心の養分みたいなのを届けている。彼の生き方だけで言えば、好きじゃない人もいっぱいいるだろう。けど彼がいまそうして生きるなかで表現しているものは、間違いなく人と人の間に昔からあった、けど今は見えにくくなったつながりのような気がします。そして彼の行き当たりバッチリ的な生き方はすごくシンプルで本質に近い気がします。

 

最後に僕がすげーなこいつ、と改めて感じた彼の名言を書きます。

彼がこないだどこかの国に行ったときのFacebookから

「もうガイドブックいらん!だってガイドブックにはコミュニケーションがない!おもろいところあれば人に聞いたらええやん!だからガイドブックもういらん!」

 

ちょっとうる覚えなので僕の言葉が入っとるかもしれんけど。

これほんま本質やと思います。

自分と違う世界(国という意味だけじゃなくて)との接点ってやっぱりコミュニケーションから生まれるのがほんまの順番ちゃうかなと。

 

話した相手のことをもっと知りたくなる。

その国の「人」に出会って、その人の「国」にも興味が湧く。

食べものも、洋服も、音楽も、そしてもちろん人も。

そういうものに触れ、自分の心が動いて、そこからほんとの意味でそれらをもっと知りたい、もっと見つめたいと思うようになる。

 

つまり誰かが「良いもの」「いいとこ」「美しい景色」と定めたものをトレースすることよりも、本来は自分が良い!ええとこ!美しい!と捉えるものこそがその人の人生にとって、残るものなんじゃないかということ。

 

 

なんともらしいことを書いているけど、これ全然違うことをブログで書くために最初に入れようと書き始めたのに、すっかり脱線してしまいここから本題書いても間延びしてしまうだけなのでこれで終わりにします。

 

自転車旅は早く短い距離で目的地に行けることが大事じゃないかも。

旅はスタンプラリーみたいになるよりも、自分が良い、美しいと感じるものがほんとかも。

ホームレス小谷は常識知らずやからこそ、意外と本質ついてることが多い。

というお話でした。

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コメント: 1
  • #1

    いてい (木曜日, 24 8月 2017)

    MASA,so happy to get your Blog ! Do you remember me? I am いてい, We met in 2007 when you had a travel by cycle around china before 10 years ago.A beautiful village ,dinner with my family……!remember?I have sent email to your gmail ,hope you still use this email!Thanks fate,lets us be acquainted with each other in the boundless huge crowd,say Hi to you again!good luck!