Tothepeople

 

早く外に出るのが待ち遠しい。

旅でこんなことが今まであったろうか。

仲間のシャワーを待ちながら、ベランダから身を乗り出すように外を見た。

さぁ行こう!

 

砂ぼこりが立ちそうなくらい乾燥した空気、けれども目に眩しいのは晴れ渡った空と

原色の服を着て歩く人たち。古い建物や車は少し色のトーンが滲んでいるような、

ちょっと古い映画の中を覗きこんでいるようなそんな風に目には映った。

 

銀行で両替をして、それが終われば探検だ。

食堂を見れば覗き込む。ズラッと並ぶテーブルと椅子。店の仕切りはなく、それぞれ目的のお店の前で注文するスタイルのようだ。料理も分からない、値段も分からない、食べてる人に聞いたり、メニューを見ながら意味を予想したりして注文。思っていたのと来たのがは違ったがそれでいい。

 

ゆるやかに下っていくその先には海が見えた。泳ぐところはあるだろうか?それとも普通の海だろうか?クラシックカーを見つけては写真を撮り、さまざま声が飛び交うのを聞いては、そっちを振り向いて人々のやりとりを見つめる。そうこうしているうちに海に出た。

 

堤防があって、いくつかの船がつないであった、左手には大きく湾がカーブして新市街のような少し新しいビルが見える、右手にはスペイン時代のものだろう大きな要塞が見える。しばらく海沿いを歩き、また人が行き交う旧市街に戻った。

 

チーノ!

そこかしこで声をかけられるが、他の国であるような嫌な感じがしない。

おそらく見た目だけで呼びかけてるからだろう。

ハポネス!

と返すと、あれまー!みたいな感じでそこから立ち話になったりしておもしろい。

何しにきたんだ?いつ来たんだ?キューバは好きか?

いったい1日何度同じことを聞かれ答えるだろうか。挨拶だけなら数えきれないくらい。

 

キューバ。

僕の中でのキューバは国の政策や、古い車に町並みなんかに寄っかかって、

なんだかほんとの意味での「人」にフォーカスされていなかった。

そして早くもぼくは、その人たちに魅了されはじめている。